チェンソーマンを語る上で欠かせないキャラクターといえば、早川アキでしょう。
デンジの生き様に大きな影響を与えたといえ、チェンソーマンという漫画を語る上では外せません。
表向きは有能なデビルハンターとして活躍していた彼は作中においてどんな立ち位置だったのでしょう。
早川アキのキャラクター設定。
高身長でルックスもいいです。
恵まれた男です。
人間的にも「出来て」おり、社会常識を一通り抑えています。家事炊事全般をこなせる家庭的な一面も見受けられ、頼れる男です。
仕事も出来、思いやることも出来て、社交的な部分も成熟している。
100人いれば、100人が「有能の判」を押すのが早川アキ、という男でしょう。
それもあって他の課からも
引き抜きたい
と言われるほど、人望が厚いです。
作中における、立ち位置。
デビルハンターを務めます。
国が認めた、「公安」という組織で専門的に悪魔を討伐します。
人間には思慮深い一面がありますが、対悪魔となれば非情な選択を下すことが出来ます。
アキは4課という曲者揃いが集まる課でリーダーを務めます。
作戦を立てるときも何かと先陣を切ることが多く、自身が傷つくこともいとわない姿勢は仲間から懸念されます。
しかし、本人は生き急ぐかのように悪魔討伐に向かいます。その姿はまるで鉄砲玉のようです。
アキの生い立ちについて。
アキの生い立ちについて語れば、長くなります。
生まれは北海道で、思い出の中にはいつだって雪が降っています。
アキには弟がいてタイヨウといいます。
タイヨウは病弱なので親がつきっきりです。
そんなタイヨウにアキは嫉妬し、いつも一人で遊んでいました。ある日タイヨウの病状が少し良くなり、二人で遊ぶことにしました。
それはキャッチボールという他愛もない遊び。アキは先に家の外に行きます。そこで弟にグローブとボールを持ってくるように指示します。
その時、現れたのが、
銃の悪魔
でした。
銃の悪魔はとてつもなく強力で、まるで暴風雨のようにアキの目の前を通り過ぎます。
アキは家から数十メートルほど離れたところにいたので無事でした。
しかし、グローブとボールを取りに行った弟は銃の悪魔の攻撃によって帰らぬ人となりました。
当然、両親も一瞬で消し飛ばされました。
アキがデビルハンターになったのは、それがきっかけです。
アキの目的
話の流れからわかる通り、
銃の悪魔の討伐
です。
そもそも、公安という組織自体が銃の悪魔を倒すことに重きを置いている組織です。
銃の悪魔は日本だけでなく世界中を恐怖に陥れた最強クラスの悪魔。
それを倒すために、公安は銃の悪魔に対して多くの手がかりを集めているのです。
それを知っているアキは公安に所属をし、デビルハンターとして成りあがってきたのです。
アキの戦い方
では、アキの戦い方はどんな物なのでしょう。
基本的に公安に所属しているデビルハンターは悪魔と契約して戦います。
悪魔の性質を知っていたり、悪魔と仲がいいデビルハンターは腕利きのデビルハンターとして強い悪魔とも戦うことが出来ます。
アキも悪魔と契約することで、強力な悪魔と戦い抜きます。
繰り返しますが、リスクをいとわない男です。
契約している悪魔は多岐に及び、多くのモノをかなぐり捨ててきました。
そのため、実は作中序盤から相当に蝕まれていました。
悪魔と契約したデビルハンターは契約した悪魔の性質を理解して、自分なりの戦い方を模索していくものですが、アキに共通して言えることは
自分の体を一切いたわらない、捨て身の戦い
を如いている、ということです。
破格のリスクであっても敵を倒せるのならバンバン悪魔の力を使います。
狐の悪魔
作中序盤においては、『狐の悪魔』と契約を交わしていました。
悪魔の力を使う場合、何かしらのリスクが伴います。
狐の悪魔は良心的です。
髪の毛や腕の皮など軽いリスクで使用することが出来ます。
そのため、アキは多用していました。
頭のちょんまげも狐の悪魔のために、そういった髪形にしているのです。
(髪の毛を上げれば、喜ぶ)
使い方はシンプルで、
コン。
という掛け声とともに強靭な顎が空間から出現し、敵をかみ砕きます。
低級~中級クラスの悪魔ならば、一蹴できます。
追記
アキが狐の悪魔を使うと、顔の部分が出てきて強靭な顎で敵をかみ砕くことが出来ます。
本来狐の悪魔は腕や爪しか使わせてくれませんが、男前に限っては頭を使わせてくれたりします。アキは男前なので、顔面ごと呼び寄せることが出来るわけです。
呪いの悪魔
非常にリスキーな悪魔です。
能力は強力です。
しかし、使うたびに寿命を持っていかれると言う恐ろしい力を持ちます。
アキは呪いの悪魔を使いまくっていたので、作中序盤で寿命はすでに3年以内に減らされていました。
未来の悪魔
強力な悪魔です。
数秒先の未来を覗くことが出来ます。
悪魔自体は、気分家な一面があります。
対価に関しては四肢が持っていかれる場合もあれば、失明するものもいます。
アキに関しては、
目に居座らせろ。
という、軽い物でしたが、後に最悪の契約となることが分かります。
アキの最期について。
アキは公安で戦い、片腕を持っていかれるなど深手をかなり追いました。
しかし、本人は鉄の意志で戦い続けます。
また、日々の生活の中でデンジやパワーとも打ち解けていく内に、本来嫌っていたはずの悪魔を見直すようになります。
残りの寿命もわずかですが、アキの心は非常に充実していました。そんな矢先、銃の悪魔討伐作戦が組み込まれます。
アキにとってはかたき討ちの絶好のチャンスでしたが、デンジやパワーもその作戦に加わることを聴き、アキは戦いに参加しない選択をします。
しかし、マキマがそれをさせませんでした。
アキくんが参加しなくとも、私がデンジくんやパワーちゃんを作戦に連れていく。
そんな言葉を聴き、アキは銃の悪魔討伐作戦に参加しました。
そして、銃の悪魔について、衝撃の事実を聴かされるのでした。
実は倒されていた銃の悪魔
マキマは衝撃の事実を口にします。
銃の悪魔は実は倒されていたのです。
そして、その肉体は世界各国が保持している。
アメリカ、ロシア、中国。
それらの主要国家がその肉体の多くを保有しています。
銃の悪魔は強力なので、その肉体を多く持っていればいるほど、各国に強く出ることが出来ます。
チェンソーマンの世界は核兵器が存在しないので、銃の悪魔の肉体を多く保有している国が世界の覇権を握れる構図になっています。
では、「銃の悪魔討伐作戦の本質」はどこになるのか?
公安屈指のメンバーで構成された、
対、銃の悪魔討伐作戦
ですが、これの本質はいったいどこに向かうのでしょうか。
それは、
銃の悪魔の肉体を多数保有している国から無理やり奪い取る
ここに焦点が当てられます。
マキマ曰く
戦争みたいなことが起きる
とのこと。
それをきいた、アキは愕然とします。
自身の手で倒そうとした宿敵はすでに倒されており、しかも、その宿敵を手に入れるために自身は剣を振らなければならない。
銃の悪魔はその存在がある限り、永遠に利用され続けるわけです。絶対に息の根を止めることはかないません。
とてつもない虚無感がアキを襲うのでした。
しかし、銃の悪魔の本来の目的はまた違うところにあった。
ただ、マキマの言った情報には本来の目的が含まれていませんでした。
世界各国が銃の悪魔を求める理由にはまた別の用途があったのです。
単刀直入に言えば、銃の悪魔の用途は
マキマの討伐でした。
支配の悪魔であるマキマは自身が持つ最強格の力で世界を掌握しようとしていたのでした。
それによって、悪い物をすべて排除した、この上なく平野な世界、通称
最悪の平和
を作り出そうとしていたのです。
それを阻止すべく、大国はこぶしを振り上げます。銃の悪魔を呼び出すことで、支配の悪魔の討伐を目指したのです。
銃の悪魔VS支配の悪魔
そして、行われた
銃の悪魔VS支配の悪魔
結果は、支配の悪魔、マキマの圧勝でした。
支配の悪魔は格下の人間、悪魔、魔人それらすべての力を対価なしで使うことが出来ます。
それによって、複合された究極の力で銃の悪魔を瞬殺します。
しかし銃の悪魔の攻撃も届かないわけではありませんでした。
放たれた銃弾はマキマの頭部を貫き、その際一緒にいたアキも巻き添えにくらいあっさり死亡したのです。
アキ自体の最期はこれで、非常にあっさりしています。
しかし、その後に悪夢が起きる。
ここからが真の悪夢でした。
討伐された銃の悪魔は、肉体のよりどころを探します。
そしてとりついたのが、アキの死体でした。
これによって銃の魔人が誕生します。
アキはもっとも倒したいと思っていた悪魔に自身の体を乗っ取られることになるのです。
魔人は人間だったころの脳が少し残っており、向かった先がありました。それが、デンジやパワーと生活を共にしたアパート。
銃の魔人とかしたアキは、デンジ宅に向かい何度も呼び鈴を押すのでした。
そして、出迎えたデンジと殺し合いをすることになります。
殺し合いをする時も、アキは夢見心地でした。
悪魔に乗っ取られたアキは思考すらも狂っており、デンジとの戦いの最中、まるで雪合戦をするように銃弾を打ち続けました。
本来、他人を思いやるアキですがこの時は狂気の笑みすら浮かべていました。デンジだけでなく民間人までにも無差別のテロを行います。
町周辺は戦争でもやったかのような、惨状に見舞われます。
デンジは家族に等しいアキの命を奪うことにためらいを覚えましたが、ほっておけば被害は拡大する。
そのため、仕方なくアキ、もとい銃の魔人の命を奪う選択をしました。最終的にデンジは民間人の後ろ押しもあって銃の魔人を討伐します。
しかし、最も親しい人間を手にかけたデンジはそのまま放心して、立ち尽くすのでした。
そして、それを不気味な笑い方で見守る悪魔がいました。それが未来の悪魔でした。
未来の悪魔はアキと契約するとき、この結末をすでにしっており、自身の悪趣味な欲望を満たすためにアキの目に居座り続けたわけです。
悲劇の男、早川アキ
主人公のデンジに人間としての生き方を教えたのは間違いなく、この男です。
デンジは最終巻になるとちゃんと自分で生きられるようになりました。
そういった意味では、兄妹以上の関係、もしかすると親に近い存在だったのかもしれません。
そんなアキは最悪の死を遂げることになります。その展開の多くのファンは度肝を抜かれたのではないでしょうか。
この展開をみてから、筆者はこの作品に引き込まれてしまいました。
ワクワクも読者を引き入れる条件ですが、こういった絶望的描写も作品に引き込む要素なのだと教えてくれます。
アキの最期で何が辛いかと言えば、
アキ自身は銃の悪魔に体を乗っ取られたことを知らず、自分はデンジやパワーのために死ねた
と思っていることでしょう。