11巻とは思えないボリュームで話がまとめられているチェンソーマン。
作品の見どころと言えば、悪魔です。
この作品は多種多様の悪魔が存在します。それらの悪魔は人間の恐怖を糧にして存在しており、ひとたび現れると甚大な被害を及ぼします。
一見すると『○○の悪魔』という表現は稚拙に見えます。
それでも悪魔一つとっても、読み返すたび色々な意図が読み取れて面白いです。
暗喩的な描写など、読者が考える余白があるところもこの作品の魅力でしょうか。
そんな悪魔ですが、明確な格差があります。
強力な悪魔は人間だけでなく、同族にも恐れられ、その恐怖を糧にすることでより強力になります。
今回は、作中に登場した最強クラスと言っていい悪魔たちの紹介をしていこうと思います。
悪魔の強さは何に比例する?
悪魔の強さは恐怖度に依存します。
悪魔は抱かれる恐怖心によってその強さを変えるのです。
チェンソーマンの世界で最も恐れられていたのは銃の悪魔です。それは、銃が世間に恐れられているからです。
悪魔退治のために流通した拳銃が人間を始末する道具として活用されるにつれて、人は銃弾の恐ろしさを知ります。
その結果、銃の悪魔は強大になりました。
しかし、銃の悪魔でも遠く及ばない存在がいます。本当の恐怖とは概念的なものになります。
死であったり、終わりであったり、飢餓であったり、そういったものに対して人は根源的な恐怖心を抱きます。
それらは銃の悪魔なんかよりもはるかに恐ろしい存在として描かれているわけです。
強力な悪魔の共通点
圧倒的な強さを持っている場合、その肉片を下位悪魔が捕食した場合かなり強化される設定になっています。
これによって、人形の悪魔は手の付けられない怪物に成長しました。
銃の悪魔
やはり銃の悪魔は外せないでしょう。
強さの根幹は圧倒的なスピードにあります。
本人すらも銃弾並みの速度を出すことが出来、その速度によって自身の肉体が焼け落ちるほどです。
その速度がどれほどぶっちぎっているのかと言えば、多くの人間はその存在を視認する前に引き殺されてしまいます。
一度姿を表すや否や、世界中の都市を壊して回り、多くの人間の命を奪ってしまう。
それに加えて、多種多様の拳銃を使い、一都市を一瞬で蜂の巣にしてしまう攻撃力を兼ね添えています。
また、銃弾一発一発はタダ乱雑に打たれているのではなく、銃の悪魔が指定した条件に合わせて、打たれているようです。
例えば、
10月生まれの男性
と、銃の悪魔が指定すれば、放たれた銃弾は全てそこに進んでいくわけです。
スピード、攻撃力、正確さ。
単純な攻撃スペックだけで言えば、作中において一番強いのかもしれません。
支配の悪魔
強力な銃の悪魔を瞬殺した、支配の悪魔も恐ろしいです。
ヒロインのマキマさんはラスボスでもありました。
支配という人間が根本的に恐れる概念をつかさどる悪魔で、アメリカの大統領は
我々人類の歴史が、作り上げた
と称するほど、恐怖のスケールが違います。
多くの悪魔に恐れられる存在で、大国の大統領をもってしても、銃の悪魔を頼るしか出来ることはありませんでした。
それほどに支配は強力です。
基本的に悪魔は契約をすることで力を課してもらうことが出来ますが、支配が出来るマキマはノーリスクで他の悪魔の力を活用できます。
特に重い対価を要求する悪魔とは相性抜群。
作中では、5年10年の対価で使われていた『寿命武器』を、1000年という桁2つ違うものとして使っていました。
支配の強みはそれだけでなく、内閣総理大臣と契約をすることで、
自身の身に降りかかる攻撃を日本国民の病気や事故に転換する。
という、力を持ちます。
人類が始まって以来、人という種族とともに生きてきた『支配』という恐怖。
それにふさわしい圧倒的なスペックを誇ります。
闇の悪魔
そのマキマよりもはるかに強いとされるのが、闇の悪魔でしょう。
恐らく作中で一番強力な悪魔です。
暗闇という、人類が文明を作る以前から対抗しようとしてきた存在です。
我々人類の生活には当たり前のように、電気があり、明かりがあります。
電気が無くなった生活なんて考えられない、
という人がほとんどではないでしょうか。
それこそが、『闇』という存在への恐怖心を体現している証明になるわけです。
その強さはどれだけ恐ろしいのかと言えば、
何が起きているか理解できない
ぐらい恐ろしいです。
獣が人間に鉄砲で打たれたとき、恐らく獣はなぜ自分が傷ついているか理解できないでしょう。
次元が違う相手からの攻撃というのは、もはやその理屈すらも理解できないままやられていくのです。
闇の悪魔もそういった別次元の強さを持った悪魔です。
支配の悪魔でさえも多くの代償を払って逃げるしかありませんでした。
悪魔からも恐れられる最強の悪魔です。
チェンソーマンの続編があったとして、闇の悪魔に迫るものは出てくるのでしょうか。
チェンソーマン
チェンソーマンも忘れてはなりません。
そのまま、
チェンソーマン
と呼ばれています。そのため、厳密に何の悪魔かわかっていません。
その強力さはマキマが語る上では、とてつもないものでした。
戦歴がとてつもなく、今まであらゆる悪魔を八つ裂きにしてきた過去をもちます。
悪魔の強さは恐怖心ですが、
チェンソーマンは人間からの恐怖ではなく悪魔からの恐怖でここまで強くなった悪魔
と作中では語られました。
人類をたった一人で相手にできるマキマにも
勝てる気がしない
言わしめる実力は本物です。
地獄のヒーロー
と呼ばれており、その破天荒な生き様からあるものからは恐れられ、憎まれはしたものの、中にはそこに魅力を感じている悪魔もいる。
そんなカリスマ的な部分を秘めたダークヒーローです。
チェンソーマンの力
チェンソーマンは倒した悪魔の捕食を行います。
捕食された悪魔はそれを呼称する存在がこの世からなかったことになる
という力を持ちます。
例えば、地震の悪魔がチェンソーマンに敗れて捕食されれば、『地震』という存在が歴史から抹消されます。
そうなると、阪神淡路大震災や東日本大震災もなかった過去になるわけです。
かつてチェンソーマンが捕食したものには、
核兵器、ナチスドイツ、第二次世界大戦、エイズ
と言ったものがあります。
作中の舞台において、そういったものはすでに存在していません。
どれもこれも、人間から絶大な恐怖を抱かれていた存在です。
従って悪魔も強力だと思われます。核兵器の悪魔なんかは恐ろしい戦闘力を持っているはずです。
そういった悪魔に打ち勝って全て捕食しているのですから、チェンソーマンが強いと言われる理由も分かります。
存在したら強いだろうと思われる悪魔。
とここまで、作中に登場した悪魔を紹介しました。
人形の悪魔や地獄の悪魔も強力ですが、上に比べると一歩劣ると考えたので、端折ります。
ここからは、
世間的な恐怖心を踏まえ強力だろう
と思われる悪魔を考察しようと思います。
死の悪魔
これは外せません。
闇の悪魔以上の怪物になるのは確実。
人は死を回避するために、日々生活しているわけです。
ご飯を食べて、勉強をして、己を磨くのは最終的には死なないためなのです。
身の回りにあるものを見渡しても基本的には人が死なないように安全な設計をされています。
そもそも、人が死にたくないのは当たり前なのです。死こそが人間の恐怖の根源と言っても間違いありません。
そう考えれば、たとえ目の当たりにしても僕たちが神様の存在を認識できないように、存在すら別次元の悪魔になるのではないかと思います。
病の悪魔
これもまた、強力ではないでしょうか。
人類は病と格闘してきた歴史があります。
流行り病によって、命を落とした人は数知れず。
ペストは14世紀に流行り、2500万人、天然痘は50年余りで7000万人の命を奪っています。
昔は病を鎮めるために人間を生贄に捧げたこともあるぐらいですから、恐怖心は計り知れないでしょう。
今は医療が進んでいるので、弱体化したかと思われますが、それでも人間の命を脅かす存在であることは間違いありません。
存在すれば、闇の悪魔に迫る脅威を見せると思います。
人間の悪魔
恐怖と言えば、これも外せないです。
結局恐ろしいのは人間というわけです。
作中で登場した銃の悪魔は世界中に恐怖されていました。
しかし、その銃を使っているのは他でもない人間です。
銃が人間を撃つのではなく、人間が人間を撃つ
と考えれば、銃の悪魔なんかよりもはるかに恐ろしい悪魔になることは間違いありません。
夢の悪魔
多くの人が恐れるとすれば、夢もまた恐怖されるのではないでしょうか。
とはいっても、いい夢もあります。
だから、そこまで脅威ではないかもしれません。
同じ理由で
神の悪魔
なんかもそこまで強くないのかと思ったりします。
神は敬愛こそすれ、恐怖することはあまりないからですね。
まとめ
ということで、最強の悪魔についてまとめてみました。
改めて、
恐怖度がそのまま強さに依存する
という設定は斬新かつ、面白いと感じます。
こうして書いていても色々な考察が出来ますし、
どういった悪魔が強力かでチェンソーマンの世界ではこういったものが恐れられているんだなあ、と曲解して世界観を覗いたりすることが出来ます。
意外と人形の悪魔は強かったです。
個人的にそこまでこわいイメージはないですが、チェンソーマンの世界では非常に強かった、ということはあちらの世界では人形はかなり恐れられているのでしょうか。
巻数は短く、色々な部分をカットして作られた作品ですが、それゆえに考察する隙もあるので、本当に大好きな作品ですね。